桃のつぶやき 八月号補足
植物は一次代謝(光合成・呼吸・タンパク質合成・養分の合成・分解・輸送)とは別に、
植物体の成長や分化には直接的に機能しているとは考えられない非常に多種多様な
有機化合物を合成しています。これらの物質は二次代謝産物と呼ばれています。
植物の色素は基本的にカロテノイドとフラボノイドの二つに分けらます。
‘カロテノイド‘は黄色・橙色・赤色のテルペノイド化合物であり、フラボノイド
はフェノール性化合物の中で最も大きな一群の物質です。
フラボノイドにはアントシアニン・フラボン・フラボノール・イソフラボンの四つ
のグループがあります。その中で、有色の‘フラボノイド‘として最も広く存在して
いるのがアントシアニンです。
アントシアニンはアントシアニジンという色素に糖さらに有機酸を有した配糖体と
なっており、色調はB環上の水酸基(-OH)の数や結合している有機酸の存在、液胞
内のPH(酸性の液に反応して濃い赤紫色になり、アルカリ性が強くなるにつれて、青
色から緑色、黄色へと変色)など、さまざまな要因によって安易に色が変わるという
性質があるようです。
ポリフェノールの基本構造は正六角形のベンゼン環上に複数の水酸基が結合した化合物
です。 フラボノイドの基本骨格は、(C6-C3-C6)です。
ちなみに、ポリとは多数の~とか多量の~という意味です。
植物にとっては何の機能もしていない代謝系のゴミと考えられていた二次代謝産物の
研究を推し進めたのは、20世紀初頭の有機化学者でした。
彼らは、これらの物質の医薬品、香味料、さらに工業原料としての重要性に気付き、
研究を進めたのです。
フェノール性化合物の生合成には、基本的な経路として、シキミ酸経路があります。
この代謝経路の1ステップを阻害して作られたのが、除草剤として有名なラウンドアップ
(グリフォサート)です。
また、カロテノイドのテルペノイド化合物は、植物を食する昆虫や動物に対して、毒性
もしくは捕食抑止物質となっています。
キク科植物の葉や花に含まれているピレスロイドが殺虫剤の原料、合成ピレスロイドの、
基になっているのです。
すべては、植物の基礎研究から始まったのです。
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