桃のつぶやき  1月号  2016

 

出荷量たった100tの小さな産地から

 

☆どんな桃をつくりたいのか

 

これからの時代は、収穫が特別早いとか特別遅いとか、圧当的においしかったり、また安全であるなど、特徴のある、いわゆる自己主張のできる「芸のある商品」でなければ生き残れないと思います。

 

 

 生き残るためには、所得の向上を図り経営を維持しなければなりません。その為には、二つの方法があります。まず一つは商品単価を上げる事。もう一つは収量を増やすことです。

 

 

収量を増やすことは、生産者の専門ですから比較的楽に考えの及ぶところだと思います。単価を上げるとなると、自分だけの都合だけではいかないので、簡単なことではありません。

 

商品単価を上げる為には、つきつめてみれば誰も作らないものを作るか、誰も作れないものを作るか、そして、誰も作れない方法で誰も作れない時期に作るしかないですよね。しかし、これがじつに難しい。 

 

桃の管理にしても、季節にそった、いつもの年のいつもの作業でいいのか?いつもと同じやり方でいいのか? いつもと同じ桃でいいなら、その他大勢の中に埋没してしまいます。

 

 

果物はし好品です。極端な話、必ず買わなければいけない商品ではないのです。それを、買ってもらうのですから食べ物としての栄養とか、健康とか以外に、何かが必要です。

 

生産者も、消費者であるお客様の笑顔を求めています。生産者として消費者に何を届けたいのか! 消費者は今、何を求めているのか 常に考えて提案しなければいけません

 

 

時代は、「みんな同じ」から「個の満足」の時代へ変わってきているように思います。

 

 

今の時代「価値とは何なのか」「価値ある桃とはどんな桃なのか」そのヒントを導き出す為には、まず、技術を磨くこと、技術にも限界があるが、そこから先は、頭で考えること。そこから先が本当のプロの世界なんです。それから、アンテナを張り巡らし情報を得る事、知識を蓄えて引き出しを増やすこと、たくさんの人と交わることなど、やることは、いくらでもあります。

 

 

以前、山梨県果樹園芸会の方とお話をさせていただいた時に、果樹振興のけん引役である本会の役割は、「己のみならず 広く同志と共に すべてを共有することにある」といわれました。 

 

山梨県果樹園芸会同様、県外の生産者にも関わらず、「岡山自然流 大藤会」の研究会に参加させていただき、いつも感謝しております。

 

 

       神田桃園 細川和義