● アブシジン酸
植物生理学者は、長年、種子や芽の休眠は阻害物質が原因ではないかと考え、
多くの休眠芽からその物質を抽出、単離しようと試みてきました。
初期の実験では、植物の抽出液から物質を単離するペーパークロマトグラフィーが
使用され、一群の阻害化合物が同定、その中に、サイカモアカエデ葉から精製された
‘ドーミン‘という物質が含まれていました。(1965年)
その後、‘ドーミン(ドルミン)がワタの実の離層形成を促す‘アブシジンⅡ‘と
同一の物質であることが発見されました。
この物質は離層形成に関連すると考えられ、アブシジン酸(ABA)と改名されま
した。
現在では、離層形成を促すホルモンはエチレンであり、ワタの実の離層形成を誘導
するのはABAがエチレン生成を促進するためであることが解っています。
また、ABAは休眠芽に蓄積し、組織を低温にさらすと含量が減少することから休眠
誘導ホルモンと考えられましたが、その後の研究から、芽のABA含量は必ずしも休眠
の程度と関連している訳ではないとの説がでているようです。
※ アブシジンサン(ABA)は、ジベレリンとは拮抗的に働くが、オーキシンの作用に
は影響しないことがわかっています。
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